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「歯を抜かないための根管治療」の鍵は「細菌」鹿児島市の歯医者が解説

その歯、あきらめていませんか?

「こんなに大きな虫歯になったら、もう抜くしかないかも…」 「歯の神経の治療(根管治療)って、何回も通うし、本当に治るのかな?」

鹿児島市にお住まいの皆さまの中にも、歯の治療でこんな不安を感じたことがある方はいらっしゃいませんか?

大切なご自身の歯、できることなら一本でも多く残したいですよね。 実は、「歯を抜かない治療」を成功させるためには、非常に重要な“あるルール”があります。 今回は、そのルールがなぜ大切なのか、とても有名な研究(エビデンス)をご紹介しながら、分かりやすくお話ししたいと思います。


歯の運命を分けた、たった一つの違い

「歯の神経がダメになる本当の原因はなんだろう?」

これを調べるために、今から60年ほど前(1965年)に、ある有名な実験が行われました。(Kakehashi et al., 1965)


実験の内容:2つのグループの違い

研究者たちは、ラット(ネズミ)を2つのグループに分けて、あえて歯の神経(歯髄)が露出する穴をあけました。

  1. Aグループ:「無菌」のラット お口の中にも、体の中にも、細菌(ばい菌)が全くいない、特別な環境で育てられました。

  2. Bグループ:「普通」のラット 私たち人間と同じように、お口の中に普段から細菌がいる環境で育ちました。

そして、どちらのグループも、穴をあけたまま、フタをしませんでした。 つまり、食べカスなどが穴に入り放題の状態にしたのです。


さて、この2つのグループの歯は、その後どうなったと思いますか?

Bグループ(普通=菌がいる)のラット: 予想通り、穴から細菌が入り込み、歯の神経は数日のうちに感染してしまいました。 神経は腐って(壊死)、根っこの先に膿の袋(病巣)ができてしまいました。歯はまったく治りませんでした。

Aグループ(無菌=菌がいない)のラット: なんと、驚くべきことが起こりました。 Bグループと同じように、食べカスは穴に入り込みました。しかし、そこには細菌がいなかったため、歯の神経は感染しませんでした。 それどころか、歯は自らの力で治り始めたのです。 14日後には、露出した神経の部分に「デンティナル・ブリッジ」と呼ばれる“新しい歯の壁”が作られ、穴がふさがっていきました。歯の神経は生きたまま、健康を取り戻したのです。


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この研究が教えてくれる、たった一つの大切なこと

この実験結果が、私たちに教えてくれることは非常にシンプルです。

「歯の神経が死んでしまう最大の原因は、細菌の“感染”である」

ということです。

たとえ神経が露出するほどの大きな穴があいても、たとえそこに食べカスが入っても、「細菌」さえいなければ、歯は本来、自分で治ろうとする素晴らしい力を持っているのです。


根管治療(歯の神経の治療)と「ラバーダム」

この「細菌をいかに防ぐか」という考えは、現代の「歯を抜かない治療」、特に根管治療(歯の神経の治療)において、最も重要な柱となっています。

治療中に、唾液(つば)がお口の中から歯の根っこに入り込んでしまったら、どうなるでしょうか? 唾液1ccの中には、数億個もの細菌がいると言われています。 せっかく歯の中をキレイに消毒しても、唾液が少しでも入れば、それは「菌がいるBグループ」の状態に逆戻りです。

そこで、当院のように本気で歯を残そうとする歯科医院では、「ラバーダム」という道具を使います。 これは、治療する歯だけを出すゴムのシート(マスクのようなもの)です。


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ラバーダムを使うと、治療する歯を唾液から完全に隔離できます。 これは、先ほどの実験の「無菌のAグループ」の環境を、治療中に人工的に作り出しているのと同じことです。

日本では、このラバーダムを使った精密な根管治療は、保険診療として認められています。 治療の成功率を高め、あなたの歯を守るために、エビデンス(科学的根拠)に基づいて「やるべきこと」なのです。


まとめ:大切な歯を守るために

「歯を抜かない治療」の成功は、目に見えない細菌との戦いにかかっています。

  • 60年前の研究で、「菌」さえいなければ歯は自分で治る力があることが証明されました。

  • そのため、治療中に「菌」を入れない(唾液を防ぐ)ことが何よりも大切です。

  • ラバーダムの使用は、治療の成功率を格段に高める、世界標準の治療法です。

もしあなたが今、「この歯、抜かないとダメかな…」と悩んでいらっしゃるなら、科学的根拠に基づいた丁寧な治療で、あなたの歯を守るお手伝いをさせていただきます。 詳しくはこちら

 
 
 

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