歯が減ったらすぐ入れ歯?鹿児島市の歯医者が教える「本当に必要な治療」
- 大樹 堀川
- 10月31日
- 読了時間: 3分
歯が減ったら、すぐに「入れ歯」や「インプラント」が必要?
「奥歯が1本抜けてしまった…」 「歯が減ってきたら、すぐにでも入れ歯やインプラントを入れないといけないのかな?」
歯を失った時、多くの方がこんな不安を感じられるかもしれません。 もちろん、失った歯を補う治療はとても大切です。ですが、「歯が抜けたら、すぐに・全部を補わなければならない」と考えるのは、もしかしたら早計かもしれません。
こんにちは。鹿児島市の堀川歯科医院です。 私たちは、「本当に必要な治療」を患者さんと一緒に考えることを大切にしています。今日は、歯を失った時の治療について、ひとつの大切な研究結果をご紹介しながらお話しします。
「奥歯がない=噛めない」は本当?
昔から、歯がなくなったら、残っている歯にバネをかける「部分入れ歯」や、両隣の歯を削る「ブリッジ」、あるいは「インプラント」で補うのが一般的でした。特に一番奥の歯がなくなると、ブリッジはできないため、多くの場合「取り外し式の入れ歯」が選ばれてきました。
でも、本当にそうなのでしょうか?
過去の研究では、「私たちの口が持つ“適応力”」について、いろいろなことが分かってきています。
興味深い研究データ(エビデンス)のご紹介
海外のある研究(Käyser, 1981)で、「奥歯がなくなった場合、お口の機能(しっかり噛めるか、話せるかなど)がどう変化するか」を詳しく調べたものがあります。
この研究では、奥歯がない多くの患者さんにご協力いただき、どれくらいの歯が残っていれば十分な機能が保たれるかを調査しました。
その結果は、**「一番奥や二番目の奥歯(大臼歯)がなくても、その手前にある“小臼歯”までが上下左右でしっかり噛み合っていれば、お口の機能は十分に維持される」**というものでした。
[お口の機能と歯の数の関係(イメージ図)]
もちろん、すべての歯が揃っている方が、噛む力そのものは強いです。 しかし、このデータが示しているのは、小臼歯まできちんと噛み合っていれば、私たちの口はうまく“適応”し、日常生活で「食べる」「話す」といった機能に大きな支障が出にくい、ということです。
「不要な治療はしない」という選択肢
この研究結果は、私たち歯科医師にとっても非常に重要です。
なぜなら、「歯が抜けた=すぐに何かで補う」という画一的な治療ではなく、**「今ある歯を最大限に活かし、最小限の治療で最大の効果を得る方法に導く」**という考え方につながるからです。
当院では、奥歯を失ったからといって、すぐに高額なインプラントや、お手入れが大変な入れ歯を一方的にお勧めすることはありません。
まずは、患者さんのお口全体を拝見し、
「今残っている歯(特に小臼歯)で、十分機能しているか?」
「無理に奥歯を補うことで、かえって残った歯に負担がかからないか?」
「患者さんご本人が、今の状態で何を不自由に感じているか?」 を丁寧に診断します。
もし、小臼歯までで十分噛めていて、ご本人も大きな不自由を感じていないのであれば、**「今はあえて治療せず、今ある歯を徹底的に守る」**という選択も、立派な治療計画(エビデンスに基づいた最小限の治療)なのです。
まとめ:あなたにとっての「最適な治療」を一緒に探しましょう
歯を失った時の治療法は、一つではありません。「奥歯がないから、入れ歯しかない」とあきらめる前に、ぜひ一度、ご自身の今のお口の状態を知っていただきたいと思います。
鹿児島市の歯医者として、私たちは科学的な根拠(エビデンス)に基づき、患者さん一人ひとりの生活スタイルやご希望に合わせた「本当に必要な治療」の道筋を、一緒に考え、ご提案します。
「私の場合はどうなんだろう?」 「このまま様子を見てもいいのかな?」
そんな疑問や不安がありましたら、どうぞお気軽にご相談ください。





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