歯磨き粉の選び方。フッ素濃度で変わるむし歯予防
- 大樹 堀川
- 11月7日
- 読了時間: 3分
歯磨きしてるのに、むし歯になるのはナゼ?
「毎日ちゃんと歯磨きしているのに、むし歯ができてしまう…」 「お店には歯磨き粉がたくさん並んでいるけど、むし歯予防のためには、どれを選んだらいいの?」
そんな風に思ったことはありませんか?
実は、むし歯予防の効果は**「歯磨き粉に含まれるフッ素の量(濃度)」**によって変わることが、科学的にわかっています。
今日は、その「安全で効果的なむし歯予防」に関する、とても信頼できる研究データをご紹介しますね。

信頼できるデータが示す「フッ素濃度」の効果
歯科医療の世界では、たくさんの質の高い研究結果を世界中から集めて分析した、「コクランレビュー」という非常に信頼性の高い報告があります。(※)
2019年に発表されたこの報告では、96件の研究、合計6万人以上のデータを分析し、「フッ素入りの歯磨き粉が、フッ素の濃度(量)によって、どれくらいむし歯予防の効果が違うのか」を徹底的に調べました。
(※ 参照: Walsh T, et al. Cochrane Database of Systematic Reviews 2019)
分かったこと①:やっぱりフッ素は効果がある!
まず、フッ素がまったく入っていない歯磨き粉(0ppm)と比べると、フッ素が**「1000〜1250ppm」**入っている歯磨き粉を使っている人の方が、明らかにむし歯が少ないことが改めて確認されました。
これは、「フッ素がむし歯予防に効果的」ということの、強力な裏付けですね。
分かったこと②:「濃い」ほうが、もっと効果的!
そして、ここからが「歯磨き粉の選び方」の一番のヒントです。
研究では、一般的なフッ素濃度である「1000〜1250ppm」の歯磨き粉と、より高濃度の「1450〜1500ppm」の歯磨き粉を使った場合を比べました。
その結果、高濃度の1450〜1500ppmの歯磨き粉を使っている人たちの方が、さらにむし歯の発生が抑えられていたのです!
このグラフは、フッ素濃度とむし歯予防効果の関係を示したイメージです。

データによると、濃度が濃いほど、むし歯を予防する力が強くなる(専門用語で「用量反応関係」と言います)ことが示されています。
あなたの歯磨き粉選びに、どう活かす?
この研究結果は、「毎日なんとなく歯磨き粉を選んでいる」という方にとって、とても重要です。
もしあなたが大人の方(または永久歯の生えそろったお子さん)で、むし歯のリスクをできるだけ下げたいなら、**「フッ素濃度1450ppm(または1500ppm)」**と書かれた歯磨き粉を選ぶことが、科学的にも「安全で効果的なむし歯予防」につながる、と言えます。
数年前から、日本でも1500ppmまでの高濃度フッ素歯磨き粉が市販されるようになりました。
注意点:小さなお子さまの場合
ただし、これは主に永久歯のお話です。
6歳未満のお子さまの場合、まだ歯が作られている途中でフッ素を多く取り込みすぎると、「歯のフッ素症(歯に白い斑点ができること)」のリスクも考えなくてはなりません。
お子さまの歯磨き粉の選び方やフッ素の適切な量については、年齢やむし歯のリスクによって異なりますので、ぜひ当院のような専門家にご相談くださいね。
まとめ:今日からできる「根拠のある」選択を
毎日使う歯磨き粉だからこそ、効果がしっかり証明されたものを選びたいですよね。
フッ素入りの歯磨き粉は、むし歯予防に確かな効果があります。
大人のむし歯予防には、フッ素濃度「1450ppm」がより効果的です。
お子さまの歯磨き粉は、年齢に合ったものを選ぶことが大切です。
ぜひ今度、ご自宅の歯磨き粉の裏側にある「成分表示」を見て、「フッ素濃度(ppm)」をチェックしてみてください。
「自分にはどれが合っているんだろう?」と迷ったときは、次回の定期健診の際に、いつでもお気軽に当院のスタッフに声をかけてくださいね。



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